中古車を購入した場合に、交換を検討した方がよい部分の一つです。
フロントフォークには、コイルスプリングで衝撃を吸収する役割と、オイルの粘性により振動を減衰する役割とがあります。このフォークオイル は、エンジンオイルのように熱がかかりませんが、スラッジなどを取り込み、徐々に粘度が落ちてしまいます。
粘度が落ちると(あるいは、オイル漏れでオイル量が少なくなると)、コイルスプリングのみの状態に近づきます。コイルスプリングのみでは、なかなか振動が収束しないため、乗り心地の悪化につながります。
なお、CT110で、JA07カブプロのフロントフォークへ換装するカスタムがあります。それだけ優秀なサスペンションなので、大事にメンテして使っていきましょう。
ショップの目安工賃:10000円〜
※セルフ整備はあくまで自己責任のもとで行なってください。
用意するもの
フォークオイル
【ヤマハ】サスペンション&フォークオイル G-10ホンダ純正は高いため、ヤマハオイルを使いました。オイルの硬さはG-10で、ホンダ純正にあわせました。カタログ値の粘度を比較すると、純正より若干ですが柔らかそうです。
純正を使用する場合は、↓です。
トルクレンチ
【E-Value】 プレセット型トルクレンチ 差込角 9.5mm 20~110N・mタイヤやフロントフォークの取り付けは、規定トルクで締め付けましょう。セルフメンテだからこそ、大事なポイントです。
20〜100Nのトルクレンジなので、カブのメンテはこれ1本で大体いけます。
レンチ類(10mm、12mm、22mm)
メガネレンチ、ソケットレンチ、片口スパナなど。
廃油受け皿
【エーモン】オイル受皿 5L W345×D265×H82mm100均のタッパーで代用しましたが、容量が小さいので、使いにくいです。エーモンの受け皿は、5Lとサイズ的にちょうどよいし、注ぎ口も付いていて使いやすそうです。
ピペット
【大澤ワックス】スポイト 10ml S-10油面高さ調整用。専用の注射器セットも売ってますが、2〜3000円となかなか高いので、100円程度で買えるピペットを使います。ただし、JA07プロは油面高さは182mmなので、ピペットの全長がそれ以上ないとNGです。↑は全長約280mmなのでOK。
作業手順
フロントタイヤを外す
外し方は下の記事をご参照ください。
フロントフェンダーを外す
外側から見える左右のボルト計4本を、レンチ(10mm)で外します。
フロントフェンダーを横に傾けた状態で、下側に抜きます。
トップブリッジの固定ボルトを外す
トップブリッジとフロントフォーク上端を固定しているボルトを、レンチ(14mm)で外します。
フォークキャップを緩める
一度、ピンチボルトをレンチ(10mm)で緩め(抜きません)、フロントフォークを下にずらします。一気に緩めると、フロントフォークが抜け落ちるので、手で支えながら緩めます。
すると、フォークキャップにレンチ(22mm)がかけられるようになるので、もう一度ピンチボルトを締め、フォークキャップを緩めます。緩めるだけでOK。
なお、ピンチボルトを締めないと、インナーチューブとフォークキャップが供回して緩みません。また、車体から外してからフォークキャップを緩めるのは、大変なので、ここで忘れずに緩めておきましょう。
フロントフォークを外す
ピンチボルトを再び緩め、フロントフォークを下側へ抜きとります。
抜いたフロントフォークは、一度、廃油受けに立てておき、もう一本も抜き取ります。
古いフォークオイルを抜く
先ほど緩めておいた、フォークキャップを抜きます。抜くと、中からスプリングが少し飛び出すので、つまんで抜き取り、ウエスの上にでも置いておきます。あるいは、フロントフォークを廃油受けの上で逆さまにし、スプリングを抜きましょう。
廃油受けの上で、インナーチューブとアウターチューブを伸縮させると、古いオイルがでてきます。数回伸縮させたら、しばらく逆さまにして、およそ抜けるのを待ちます。
フラッシングする
オイルの汚れがひどい場合、一度、新しいオイルでフロントフォーク内を洗浄します。
新しいオイルを50cc程度入れ、再び、フォークキャップを締めます。数回、逆さまにしたら、フォークキャップを開け、中のオイルを廃油受けに抜き取ります。
オイルの汚れの程度によっては、先に、洗浄スプレーで洗浄したほうがよいかもしれません。
新しいフォークオイルを入れる
古いオイル、あるいはフラッシングのオイルが抜けきったら、新しいオイルを入れます。JA07カブプロ の場合は、規定量は↓です。
油面高さ:182 [mm]
容積:77±1 [ml]
多めに入れ、吸い取りながら規定の油面高さまで調整します。そのため、100ml程度を計量カップなどで計量し、投入します。
エア抜き
フォークキャップを仮締めするか、フォークキャップ上端の開放部を手のひらで押さえ、10回程度、インナーチューブを伸縮させます。
油面高さを調整する
油面高さの調整は、スプリングを入れず、インナーチューブを一番縮めた状態で行います。
あらかじめ、先端から182mmの位置に印をつけておいたピペットを、インナーチューブに差し込みます。印がインナーチューブの先端にくる位置で、オイルを吸い取ればOKです。もし、空気を吸う場合は、オイルが足りてないので、少し継ぎ足してから、同様の作業をします。
スプリングをいれる
巻きが密な方を下にし、インナーチューブの中にスプリングをいれます。
フォークキャップを締める
手締めで締まるところまで締めたら、フロントフォークを車体に組み付けます。
フォークキャップを緩めた位置でピンチボルトを軽く締め、レンチ(22mm)でフォークキャップを本締めします。締め付けトルクは22N・mです。
本締め後、ピンチボルトを緩め、フロントフォーク上端がトップブリッジに当たるまで、差し込みます。
ピンチボルトを締める
レンチ10mmで締め付けます。締め付けトルクは32N・mです
トップブリッジの固定ボルトを締める
レンチ(14mm)で締め付けます。締め付けトルクは44N・mです。
フロントフェンダー、フロントタイヤを取り付ける
取り外しと逆の手順で、フロントフェンダーを取り付けます。
タイヤの取り付け方は、下の記事をご参照ください。
フォークオイル交換の効果(動画)
動きが軽くストロークが大きかった交換前に対し、交換後は動きが硬くなっていることがわかります。走行時の振動減衰が期待できますね。