フロントフォークがオイル漏れした際に必要となるのが、オイルシールの交換です。
フロントフォークは走行時の振動減衰を目的としたサスペンションで、中にスプリングとオイルが入っています。そして、オイルが外へ漏れ出さないようにしているのが、オイルシールです。オイルシールはゴム製のパッキンなので、繰り返しの使用で切れたり、割れたりすることがあります。
フロントフォークにオイルのにじみがあったり、オイルシールにひび割れなどの異常が見られたら、早めに交換しましょう。
ショップの目安工賃:10000円〜
※セルフ整備はあくまで自己責任のもとで行なってください。
用意するもの
作業は部分的に別記事を参照しており、別記事中に記載のある工具などは割愛しています。
オイルシール
1個入りなので、左右のフロントフォークを交換する場合は、2個必要です。
ダストシール
JA07のカブプロは、フォークブーツが標準のため、ダストシールはついていません。
私のカブプロは、中古購入時からフォークブーツがついていませんでした。フォークブーツは割と値を張るため、ダストシールを装着します。
フォークブーツもダストシールもついていないと、オイルシールが丸腰になるので、どちらかはつけましょう。
こちらも、左右のフロントフォークを交換する場合は、2個必要です。
ねじゆるみ止め
ソケットボルトの固定用。また外すことも考えて、中強度のものを使います。
塩ビパイプ
オイルシールを打ち込むために使います。
ホームセンターでVP30というパイプを買います。長さは40cmが適当です。200円程度。
(参考)VP30とは塩ビパイプの規格で、外径38mm、内径31mmのパイプです。
六角レンチ(6mm)
鬼門のソケットボルトを外すために使います。
L型の六角レンチでも作業はできますが、トルクがかけにくいため、T型レンチがあると作業がしやすいです。
マイナスドライバー
ストッパーリングを外すために使います。
タイヤレバー
オイルシールを外すために使います。
今回使ったのは、上のタイヤレバーですが、これより短いものはトルクがかけにくいのできついです。慣れないと苦戦する作業なので、安全を見るなら専用工具を準備しましょう。
作業手順
フロントフォークを外し、オイルを抜く
下記事の手順2-6 “古いフォークオイルを抜く”まで実施します。
インナーチューブを抜く
再度仮組みをする
古いオイルシールは、インナーチューブを抜かないと外せません。また、インナーチューブを抜くためには、フロントフォーク底面にあるソケットボルトを抜く必要があります。
ただし、ソケットボルトをそのまま外そうとすると、インナーチューブ内のフォークピストンと供回りし、緩みません。
そのため、ソケットボルトを抜くための前準備として、再びスプリングを入れ、フォークキャップを締め、仮組みします。そうすることで、スプリングが軸方向に突っ張るため、供回りを防ぐことができます。
ソケットボルトを外す
鬼門の作業です。
ソケットボルトをレンチ(6mm)で外します。なお、L型レンチだと、首下が長い方でしか届きません。トルクがかけにくいため、メガネレンチをかけてトルクを稼ぎました。
なお、ソケットボルトを外すためには、ボトムケースが回らないように固定する必要があります。万力があればよいのですが、今回は、2本のフロントフォークを横並びにし、アクスルシャフトを通すことで、ボトムケースの回転防止としました。
仮組みしても供回りは完全に防止はできないため、一気にトルクをかけるのコツです。また、一度供回りすると、供回りしっぱなしになる可能性大です。供回りした場合、ダンパーロッドが必要になるかもしれません。
古いオイルシールを外す
ストッパーリングを外す
オイルシールの抜け防止用である、ストッパーリングを外します。
少し内側へ凹んだ部分があるため、そこに外側からマイナスドライバーを刺し、めくりあげればとれます。
古いオイルシールを外す
タイヤレバーをオイルシールの内側からひっかけて、めくりあげます。
硬いので、一気に力をいれて外すのがコツ。
タイヤレバーで、ボトムケースを傷つけないように、接触部にはウエスをあてる。
新しいオイルシールを組み付ける
インナーチューブを組みつける
ボトムケースに、フォークピストン、インナーチューブを挿入します。
その後、ネジロック剤を塗布したソケットボルトを、フロントフォーク底面に締め込みます。
新しいオイルシールを組み付ける
インナーチューブ上端から、新しいオイルシールを挿入していきます。
オイルシールの破損防止として、オイルシールが入っていた袋を、インナーチューブ上端に被せてから挿入する。また、オイルシールの内側には、新品のフォークオイルを塗り、すべり抵抗を下げる。
オイルシールを手で入れられる所まで入れたら、上から古いオイルシールも挿入します。さらに、塩ビパイプを挿入します。そして、塩ビパイプ上端をハンマーで叩き、オイルシールを叩き入れます。
その後、古いオイルシールを抜き取り、ストッパーリングを装着します。
オイルシールの打ち込みが浅いと、ストッパーリングが溝に収まらないため注意。
(ダストシールを打ち込む)
ダストシールをつける場合は、ここでとりつけます。
オイルシールを取り付けと同じ要領で、新品のフォークオイルを内面に塗布し、塩ビパイプで打ち込みます。
フォークオイルを入れ、車体に組み付ける
下記事の手順2-8 “新しいフォークオイルをいれる”から実施し、車体への組み付けたら完了です。