標準のフロントプロケットは14T、リアスプロケットは30T(スタンダードのカブは34T)ですが、1速はギア比が高すぎて使いにくいです。今回、カブの定番改造の一つである、フロントスプロケットの交換方法を解説します。また、併せてチェーン交換も実施しました。
スプロケット、チェーン両方交換しても、自分で交換すれば3000円でお釣りがくるお手軽カスタムですね。
ちなみに、14T/30T⇒15T/30Tとする事で、ギア比は2.143⇒2.000となります。フロントが2.143回転するとリアが1回転していた所が、フロントが2回転すればリアは1回転するようになります。そのため、より高速側にシフトしますが、トルクは落ちる方向となります。
計算上、最高速がどう変化するかは↓にまとめましたので、あわせてご確認ください。
※セルフ整備はあくまで自己責任のもとで行なってください。
用意するもの
チェーン
DIDの420Dです。リンク数(コマ数)は標準の98リンクでOKです。
フロントスプロケット
420サイズの15Tスプロケットです。
JA55、JA45、JA44、JA42あたりは、428サイズですが、その他のカブは大体420サイズです。
適合表はキタコさんのwebサイト参照です。
チェーンカッター
加締め式のチェーンを外す場合は、チェーンカッターが必要です。今回は、加締め式だったため、アストロプロダクツのチェーンカッターで外しました。
クリップ式のチェーンが付いている場合は、不要です。
その他工具は、8mm、10mmのレンチ類があれば、OKと思います。ドライブスプロケットカバーは、8mmのディープソケットがないと、つらいです。
交換方法
チェーンカバーを外す
ボルト6本を外していきます。青丸は角度的に写っていませんが、ここにもボルトがついています。
チェーンアジャスターナットを緩める
左右のチェーンアジャスターナット(赤丸)を緩める。チェーンカバーを外す前に緩めると、チェーンカバーに干渉するので注意しましょう。青丸は次項で緩めるアクスルシャフト。
アクスルナットを緩める
上図青丸のアクスルシャフトのヘックスを固定しながら、車体右側のアクスルナットを緩めます。リアスプロケットの交換がなければ、アクスルナットは緩めるだけで、抜く必要はありません。
僕のカブは購入時からこうでしたが、通常はアクスルナットが車体左側です。今回は特に関係ありませんが、ナットが左側だとアクスルシャフトを抜くときは、マフラー側に抜かなくてはなりません。当然マフラーと干渉し、マフラーを外さなくてはならないため、前回外した際に、左右入れ替えたのだと思われます。
アクスルナットを緩めると、リアタイヤが動くはずなので、ぐいっと前方に押しこんでチェーンを緩めます。チェーンを緩めると、だらりと下図の感じになります。
古いフロントスプロケットを外す
赤丸の2つのボルトを外すと、スプロケットが外せます。チェーンをかけたままスプロケットを外し、スプロケットを外した後に、チェーンを外します。
新しいスプロケットをつける
新しいスプロケットをシャフトに通します。そして、付属の固定プレートをつけ、赤丸の位置でボルトを止めます。なお、シャフトは歯車状に溝がきってあるスプラインシャフトです。スプロケットも固定プレートも、溝位置を合わせてシャフトに通しますが、スプロケットのボルト穴と、固定プレートの穴位置があいません。シャフトをよくみると、赤矢印の位置で、周方向に溝がきれています。この位置に固定プレートを持っていき、スプロケットのボルト穴の位置と合うように回し、ボルトを締めます。ボルト締結後、軸方向にスプロケットが若干動きますが、問題なしです。下の通り装着できればOKです。
古いチェーンを外す
加締めタイプの場合は、チェーンカッターを使って外します。チェーンカッターの使い方は、製品によりけりなので、割愛します。今回は、加締めタイプのチェーンがついていたため、チェーンカッターで外しました。
クリップ式の場合は下の写真の通り、クリップの先が開いた側とピンを、ラジオペンチやプライヤーで掴む感じで外します。
チェーンを外す際は、クリップタイプでも加締めタイプでも、チェーンの腹下で切りましょう。上側で切ってしまうと、切った瞬間、チェーンがばらっと車体から外れてしまいます。
古いチェーンのジョイントと新しいチェーンのジョイントをつないで引っ張れば、簡単にチェーンを張れます。但し、今回はリアスプロケットやチェーンスライダーといった通過経路を清掃したかったため、一度、古いチェーンを完全に外しました。
新しいチェーンをつける
チェーンの継ぎ目がリアスプロケットにくるように、新しいチェーンを丁寧に巻きつけていきます。そして、付属のクリップジョイントをタイヤ側から差し込み、クリップを取り付けます。スプロケット上でジョイントするのは、単純に作業しやすいからです。
クリップは丸い背の方を、進行方向側にします。ラジオペンチやプライヤーなどで、丸い背の部分とピンを掴む感じで取り付けます。
蛇足ですが、新品のチェーンを張る時、慣れていないと、チェーンがぱらりと床に垂れてしまうことがあります。新品のチェーンに床面の砂を付着させてしまうことがあるため、床面はあらかじめきれいにしておくか、ウエスでも引いておくとよいです。
ひたすら元に戻す
あとは、ひたすら元に戻す作業となります。
チェーンの調整⇒アクスルナットの締め付け⇒チェーンカバーの取り付け
タイヤを後方にいっぱい引いた後、チェーンのたるみが15〜25mmとなるように、アジャスターナットを調整します。そして、左右の目盛りを合わせたら、アクスルナットを締め付け、最後にチェーンカバーを取り付けて終了です。
まとめ
チェーン交換後、明らかにフィーリングが変わりました。当然ですが全体的に高速側にシフトし、下のような変化を感じました。
発進時、1速で走れる時間がわずかに増えました。元々、1速発進しようとすると、発進と同時にシフトアップしなければならない感じだったので、わずかな変化でも、体感としてはかなり違います。また、1速⇒2速のシフトアップ時の、エンジンブレーキの効きがマイルドになりました。これは、僕のシフトチェンジのやり方が下手だったのもありますが、この2つの変化で、1速がとても使いやすくなりました。
同じ速度域でもエンジン回転数が少なくなったので、音や振動が減り、体にやさしくなりました。毎日片道10分の通勤なので、疲労も何もないのですが、長く乗る時があれば、疲労が軽減される方向の変化です。それに伴って、燃費もよくなるはずですが、これは追って確認していきます。
難易度としてはさほど高くなく、コストも高くない作業において、これだけの変化が得られたのは非常に満足の結果です。ただ、14Tか15T、いずれがいいのかは、人によって答えが違ってきます。坂だらけの道を走る人や、常に重い荷物を積載して走る人は、トルクが得られる方が乗りやすいだろうし。しかし、繰り返しになりますが、作業難易度もコストもさほど高くないので、一度試してみて判断されるのをおすすめします。あわなければまた変えればいいし、良くも悪くも体感でわかる変化があるのは楽しいですよね。