バイクいじりを始めたいけど、何の工具を揃えればいいかわからない、というメンテナンス初心者に向けて、まず準備したい工具6選です。コスパがよくて、バイクいじりにがっつりハマった時にも、十分使い続けられるものをチョイスしました。
なお、安いからと、amazonで売ってる謎の中国メーカー品や、100均工具などはやめておきましょう。ボルトをなめたり、工具自体が破損したり、余計なトラブルの元になります。
今回紹介する工具を準備すれば、オイル交換やプラグ交換、外装外し、エアフィルター交換あたりは作業可能です。
コンビネーションレンチ
片側がスパナ、片側がメガネレンチになっている工具です。下で紹介するラチェットも含め、これらは全て頭が六角形状のボルトを、緩めたり締めたりする工具です。力をかけて作業する場面ではメガネレンチ、それ意外はラチェットの出番が多く、メガネやラチェットが使えない場面でスパナを使う、のような使い分けかと思います。
KTCやTONEなどを選べが当然間違いないのですが、SK11やE-Valueであればまず問題ないです。なお、両者とも藤原産業のブランドで、SK11がスタンダード、E-Valueがベーシックなブランドとされています。似たような言葉ですが、スタンダードは標準的、ベーシックは必要最低限なので、E-Valueの方がグレードが下になります。
両者ともセットに含まれるレンチサイズは同じなので、予算で決めればよいと思います。
ソケットレンチセット(ラチェット)
使用頻度が高い工具であろう1位、2位を争うのが、ラチェットと呼ばれるソケットレンチです。ボルトにかぶせるソケットと、ラチェットハンドルから成ります。スパナやメガネレンチと違い、いちいち、ボルトに工具をかけ直す必要がないので、作業が非常に楽になります。
SK11のソケットレンチセットに付属するソケットサイズは、8・10・12・13・14・17・19mmと、バイク整備によく使うサイズが網羅されており、必要十分なセット内容です。
差込角は9.5mmのセットを選びましょう。
なお、差込角とはラチェットハンドルと、ソケットを接続する4角い部分の大きさの事で、6.35mm、9.5mm、12.7mmの3種類あります。サイズが大きくなるほど、大きなトルクに対応(=大きなソケットに対応)してきますが、バイク整備では差込角9.5mmの工具を選択しておけば、まずはOKです。
トルクレンチ
ネジやボルトを締め込む場合、規定トルクといって締め込む力が決まっています。締め込みが弱く、走行中にボルトが外れたとなると、非常に危険です。では、力一杯締めればよいと思うかもしれませんが、そうではありません。過剰な力で締め付けると、ボルト類をねじ切ってしまったり、ねじ山を痛めたり、こちらもトラブルにつながります。
そんな絶妙な力加減を感覚でやるのは難しいですが、トルクレンチを使えば、確実に行うことができます。トルクレンチは初心者が使う工具のイメージが薄いですが、初心者こそ使うべき工具と僕は考えています。
E-Valueのトルクレンチ(差込角9.5mm)は、使えるトルクの幅が20〜110N・mと、バイクのメンテナンスには絶妙にちょうどよいレンジです。しかも安い。これが、同様に比較的安価でAmazonのベストセラー1位のエマーソンのトルクレンチだと、トルクの幅が40〜200N・mとなります。例えば、オイル交換する際に取り外しするドレンボルトの規定トルクは、24N・mなので、エマーソン品では作業できないわけです。
もちろん規定トルクが20N・m以下の部位には使用できませんが、そういう箇所は、厳密にトルク管理しなくても比較的リスクが低い場所が多いので、必要に応じて対応するトルクレンチを買い足すのでOKと思います。なお、ソケットは別売りですが、上で紹介するソケットレンチセットのソケットを使えばよいので、気にする必要はありません。
六角棒レンチセット
六角穴付きボルトを締めるのに使います。上記同様、SK11やE-Valueを選んでもよいのですが、六角棒レンチは比較的安価に、国内トップメーカーであるKTC品が買えるので、使用頻度も高いことを考慮すると、KTCを選びたいです。
首下が長くボール形状になっている方が早回し用、首下が短く六角形状になっている方が本締めようです。六角棒レンチは短いタイプもありますが、最初に揃えるとしたら、↓のようにロングタイプで、ボールポイントが付いているものが、使いやすいです。
プラスドライバー
ドライバーにはいくつかサイズがありますが、一番多く使うのは”No.2(2番)”というサイズです。また、カブの場合、レッグシールドの取り付けネジは”No.3(3番)”です。そのため、この2種類があれば、OKです。
言わずもがな、ドライバーはネジを締める工具ですが、非常になめやすい工具です。よく、”押し7、回し3″の力加減で使用することを言われるように、しっかり押し付けて使うことが重要です。TONEの貫通ドライバーは、ボルスターと呼ばれるメガネレンチをかけるための、六角部がついています。硬いネジを緩める場合などは、片手でしっかりとドライバーを押しつけ、逆の手でメガネレンチを回せば、舐めるリスクを低減させられます。
プラグソケット
難易度の低いセルフメンテの1つである、プラグ交換を実施するために使うソケットです。上で紹介したラチェットハンドルにつけるため、差込角は9.5mm、プラグの二面幅サイズは16mmのものを選択します。
プラグソケットは、ディープソケットと呼ばれる長いソケットに似ていますが、マグネットなどを中に収めることで、外したプラグをそのまま引き上げることができます。また、狭所での作業になることが多いので、ディープソケットと比べて薄肉スリムなタイプが多いです。(プラグはトルクをかけて締める場所ではないので、通常のソケットよりも薄くできる)。
プラグソケットはそれ自体、高額な工具ではないので、KTCの最高級ブランドであるネプロスでも3000円程度で購入できます。そのため、国内老舗メーカーのTONEであっても、1000円強とリーズナブルです。
ソケットやラチェットで定評のある国内老舗メーカーのKo-kenは、マグネットでなくクリップで保持するタイプです。それゆえ、マグネットに鉄粉が付着したり、別の工具とくっついたりすることもないのは、大きなポイントです。
その他
番外編として、工具セットも紹介しようと、E-valueやアストロプロダクツなど、比較的安価なセットを中心に色々調べました。しかし、六角棒レンチが短いタイプだったり、ドライバーにボルスターがついていなかったり、ちょっと痒いところに手が届かないイメージでした。
結局それなりの工具が含まれるセットとなると、少なくとも3万円以上はしそうなので、今回の主旨とは違うなと、載せるのはやめました。また、トルクレンチやプラグソケットなどは、普通、セット工具に入ってないので、結局買い足さなければならないのも、その理由です。
モンキーレンチや、ラジオペンチ、プライヤー、ビット類など、色々入っていてもちろんお得ではあるものの、使用頻度の高い工具は確りしたものを準備しないと、あとで買い直すのは非常にイヤなものです。上記を参考に、最低限必要な工具を準備し、必要に応じて買い足していきましょう。
くれぐれも工具沼にはまらないように!